2007-06-08

影響を受けた文豪、思想家、芸術家など

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ジャンル関係なく、自分にとって影響のでかかった順。作品の優劣は全然関係ないので注意。

1. J.S.バッハ シャコンヌやフーガの技法、音楽の捧げ物、マタイ受難などを分からない人とは口をききたくない。彼の音楽だけでなく、大きな意味で人生そのものに影響を受けていると思う。時に家庭的な暖かさがあり、時に修行僧のような推考で深い厳しさのある音楽、職人としての無心の内に発揮される「技」と、時代の移り変わりに絶望しつつも「本質」を捉えてゆく目線……などなど。個人的には「バッハちゃん」と呼んでいる。

2. ニーチェ 高校時代から『ツァラトゥストラはこう言った』を中心に、私の生きることの根源にインストールされた。高校生の時に一応ちくま文庫の全集読んだから、勿論、他の本にも影響を受けた。妹にも「にーちぇー」(「にーちゃん」の変化)と呼ばれ、満足である。

3. ドストエフスキー 2位でもよいかもしれない。小学生の時に『罪と罰』にはまり、高校の時には一応新潮と岩波で文庫で出てるのは全部読んだ。中でも『カラマーゾフの兄弟』『地下室の手記』。かなりの影響を受けたのは、私と話せばすぐ分かるはず。はっきり言えばカラマを暗記するほど読んでない人と話しても無駄な気がする。今の時代だけどドスト、今の時代だからこそ、ドスト、いつの時代でもドスト、である。ちなみの気分次第でドストンとも呼ぶ。

4. ヘッセ 小学生の時に、父親が初めて「まともな小説」として買ってくれた『車輪の下』を読んでからはまる(その時、父親が同時に買ってくれたのはカミュ『異邦人』だった)。「大人なんてあてにできない」との胸の、かなりの社会批判的、絶望的な結論の読書感想文を書いた記憶あり。ドストと同じく高校生の時には新潮文庫で出てるのは全部読んだ。中でも『知と愛』『シッダールタ』。『春の嵐』『荒野のおおかみ』も外したくない。芸術と放浪、女性、恋愛、長く短かい人生と死についてのベースになる。高校の時は黒板に『知と愛』の登場人物を書いて友人にゴルトムントの愛の遍歴を説明して「リディア!」とか叫んでいたし、ちょうど電車の中で『春の嵐』のゲルトレートがムオトとくっつくのがはっきりしてクーンが自殺しようとした時に、父親が危篤との旨の電報を受けとったシーンを読んじゃって、泣いちゃって泣いちゃって困った思い出とか多数。ヘッセが好きだから、女を欲っする人間になったのか、それとも元々女を欲っする人間だったから、ヘッセが好きになったのか、今となっては分からない。

5. カール・リヒター その真剣さ、その正確さ、その濃密さ。そしてドイツ人の営みの深さと偉大さ。オルガン、音楽の捧げ物、そして何よりマタイ受難。パルティータの5番で見せる緊張と、その向こうにある甘さも見逃せない。いや、「甘い」とか「厳密」とか、そういう問題じゃない。厳密さと甘美さという矛盾はその極限において融和する。焼けつくように甘く、身を切り刻むように厳密である。例えるならば、カール・リヒターを聴くという経験は、熱せられて青白い炎をあげる、緻密な細工が施された鉄の網に全身を包み込まれ、そのまま、胸の奥までバラバラに焼き切られてしまうということと言える。

6. カント 中三の夏にブックオフで手にとった『純粋理性批判』は、私にとっての哲学の始まりであり終わりかもしれない。高校、大学時代を通じて読み続け、他の三大批判書は勿論、それ以外にも深く影響を受けた。大学でも哲学科だったので学んだことも付け加える。個人的には「常識」としての哲学はカントでいいと思うし、それで充分と思う。枠組みとして「古い」かもしれないが、未だに現代の「常識」の基礎となっているのは否定できないと思う。

7. サン・ハウス 悩める魂から発っせられる圧倒的生存力と詫び。特に「Death Letter Blues」。音楽という営みはかくあるべきかと。いや、音楽ではなく、生きるということも。彼がドブロ以外を手に取らないことに思う所が多い。若い時の録音は勿論、「再発見」語のヴィデオも必見である。

8. ハイデガー 大学の時に『存在と時間』を何度も読み、いくらか本格的な哲学理解の始まりとなった。ニーチェの講義、『哲学の寄与』の他、平凡社ライブラリー文庫で出てるのにも影響を受けたと思う。大概何を読んでもハイデガーの用語で整理してしまう悪い癖がついたとも言える。私にとっては禅僧と仏教の話をしてもハイデガーの出番である。

9. カミュ 特に『シーシュポスの神話』。岩をかついでも笑え、と。最近影響は薄れたが高校時代は大いに参考になった。

10. タチアナ・ニコラーエワ 「フーガの技法」における、その静寂、その激しさ、その息遣いに多いに学ぶ。初めて聴いた時には音が飛んでいるのが光って見えて、手に掴めるようだった。はっきり言って、彼女のフーガの技法のよさが分からん人は耳がついてないんだと思う。個人的には「ニコラーエワおばさん」と呼んで親しんでいる。

11. 仏陀 十二因縁や四諦、八正道、縁起、三学、四法印など。まあ、彼が言ったのか何なのかよう分からんけど。大乗からはあまり影響は受けないが、『ダンマパダ』『スッタニパータ』などからは「孤独に歩む」「傷付いた手で毒を拭うな」などなどの影響を受けている。あるいは私にとっての「形而上学の破壊者」とも言える。基本的には「おしゃかさま」と呼んでいる。

12. グレン・グールド 彼のバッハ演奏のボックスは高校時代に愛聴した。特に通学の電車の定番だった。フーガの演奏において強い影響を受けた。また「天才」について考えると彼を思い浮かべてしまう。漱石を読んだのも彼の影響と言える。

13. ジョン・トッド 『自分を鍛える』を中学生初期の頃に読み、建設的に自分に厳しくなった。他の本を読んでないが、この本だけは、強く私の中に残り続けている。たまにブックオフで100円で見掛けるので、何人かに配っている。個人的には「トドの本」と呼んでいる。

14. ヴィトゲンシュタイン 大学時代から『論理哲学論考』『哲学探求』を読む。うまく言えないが影響が大きいと思う。大学一年の夏休みは拙い語学力で『探求』をドイツ語で読み、翻訳をしたのはいい思い出。

15. ハビエル・ガラルダ 高校生なりたての時に『自己愛とエゴイズム』『自己愛と献身』『アガペーの愛・エロスの愛』を読む。愛や友情、ナルシズム、孤独などについてのヒントをくれた。いかにも悩んでそうなタイトルが恥ずかしかったので、エロ本とセットで買ったという逸話もある。

16. ヴァルター・ベンヤミン 私が親族以外で墓参りしたことあるのはバッハとベンヤミンのみ。一つの自分の理想なのかもしれない。

17. スマナサーラ『自分を買える気づきの瞑想法』『ブッダの実践心理学』などの書籍の他、ネットで聴ける彼の講演など。急激に仏教化した一因。

攻撃性のある言い回しが多すぎるし、論が粗いときもあるにはあるが、彼の持ち味なのか、仏教の持ち味なのかは知らないが「Aを求めると、Aは逃げてゆく」という因縁説に基いた話がとても説得力があり、かつ面白い。Aを求めると、そのAは妄想なので当然に現実には現われず、かえって弊害のみが現われる。正しくAを求めるにはAが生じるための条件を現実的に満たさねばならないという理屈。そして、そうした条件というのは以外にもAを求めないような行動だったりするので、聞いていて説得力があるのに面白かったりする。

18. フェルメール 美について考える時に欠かせない一人。

19. 「レオン」(映画) 自分のかっこよさの原型になっている気がする。強くたくましく、キュートでいたいものである。個人的には「レオン」と言うよりは「リーオン」に近い発音で呼んでいる。

20. 菅原道真 特に『菅家後草』。苦痛を見すえる眼差しがすごい。これを女々しいで片付ける人とは話が合いそうにない。また、これだけ長い抒情詩をこのレヴェルで書いたのは日本でこの人しかいないのではないかと思う。さすがは天神様である。

21. パウロ・コエーリョ べただが特に『星の巡礼』『アルケミスト』。なにしろ、サンチャゴ・デ・コンポステラ目指した訳ですから……。

22. 野口晴哉 かっこよすぎる。理想。

23. 石川九楊 書くことについていろいろと。「九楊ちゃん」と呼んでいる。

24. パウル・クレー 造形芸術について考える時に欠かせない。

25. 石飛道子『ブッダ論理学五つの難問』にて仏教論理学への興味を湧かせてくれた。

26. 夏目漱石 特に『明暗』。この小説より凄い日本小説は存在するのだろうか? 未完が惜しまれるが、それもまた定めか。

27. 福沢諭吉『福翁自伝』にて、人生好きにやるべきかと。

28. コヴィー『7つの習慣』にて話し方や主体性など。本書に書かれているようなことを勉強・訓練して試験を合格しないと家庭を持てないような制度があればいいと思うが。

29. 古井由吉 歳とったら更にはまりそう。

30. 道元『正法眼蔵』この人いなかったら禅なんてしてない訳で……。よく分かってないけど。

31. ゲーリー・スペンス『議論に絶対負けない法』にて、語り合うことについて、高校時代に大いに影響を受けた。

32. アイアンガー『ハタヨガの真髄』日々参照している。